歯科コラム

私たちの日常生活において、健康な歯は欠かせない存在です。食事はもちろん、会話や表情作りにも大きく関わっています。しかし、多くの人が歯の健康を軽視しがちです。実は、予防歯科を通じて歯の健康を維持することは、私たちの生活の質（QOL）を大きく向上させるのです。

予防歯科とは、虫歯や歯周病などの口内疾患を未然に防ぐための歯科医療です。定期的な検診やクリーニングなどのプロフェッショナルケアと、適切なセルフケアを組み合わせることで、歯の健康を長期にわたって保つことが可能になります。

◎プロフェッショナルケアとは

プロフェッショナルケアとは、歯科医院で行われる専門的なケアのことを指します。これには、定期的な口腔検査、歯石の除去（スケーリング）、PMTC（Professional Mechanical Tooth Cleaning）などが含まれます。これらのケアは、歯ブラシでは届かない部分のクリーニングや、歯の質を強化するフッ素塗布など、自宅でのケアだけでは難しい部分をカバーしてくれます。

◎セルフケアの重要性

一方で、日々のセルフケアも同様に重要です。正しい歯磨き方法を身につけ、適切な歯ブラシや歯磨き粉の使用、デンタルフロスやデンタルリンスによる口腔内の清潔保持は、虫歯や歯周病の予防に効果的です。

予防歯科の最大のメリットは、歯の残存率を高めることです。定期的なケアにより、虫歯や歯周病のリスクを減らし、結果として自分の歯を長く保つことができます。スウェーデンなどの予防歯科先進国では、80歳時点での平均歯の残存本数が20本に達しています。これに対し、日本では平均8本と大きな差があります。この差は、予防歯科への取り組みの差が反映されていると言えるでしょう。

健康な歯は、美しい笑顔を保つためにも重要です。歯が健康であれば、自信を持って笑顔を見せることができます。また、歯の美しさは第一印象を左右することもあり、社会生活においてプラスの影響を与えることが期待できます。

口内の健康は全身の健康にも影響を及ぼします。例えば、歯周病は心臓病や糖尿病などのリスクを高めることが知られています。予防歯科によって口内環境を整えることは、これらの疾患の予防にもつながります。

予防歯科は、長期的に見ると経済的な負担を軽減します。虫歯や歯周病になってから治療するよりも、予防によってこれらの疾患を未然に防ぐ方が、治療費用や時間の節約になります。