歯科コラム

金属アレルギーとは、金属に含まれるニッケルやパラジウムなどの成分に対して、免疫系が過剰に反応して起こるアレルギー症状のことです。金属アレルギーは、指輪やネックレスなどのアクセサリーを身に着けたときに皮膚が赤くなったり、かゆくなったりすることで気づくことが多いですが、実は歯科治療で使う金属にも関係があります。

歯科治療で使われる金属製の詰め物や被せ物は、保険適用の治療によく用いられています。しかし、これらの金属製は、唾液や食べ物などと反応してイオン化し、少しずつ溶け出して体内に吸収されます。このとき、金属アレルギーを持っている方は、お口の中だけでなく全身に様々な不調を引き起こす可能性があります。

・口内炎や口角炎などの口腔内の炎症

・味覚障害や口臭

・頭痛やめまい

・肩こりや筋肉痛

・疲労感やだるさ

・抜け毛や脱毛症

・皮膚の赤みやかゆみ

歯科用金属がアレルギーの原因であると診断された場合は、お口の中にある金属製の詰め物や被せ物を全て取り除き、非金属製の素材に変える必要があります。これをメタルフリー治療と呼びます。メタルフリー治療は基本的に保険適用外ではありますが、審美性や耐久性に優れたセラミック製の詰め物や被せ物を使用します。

セラミック製の詰め物や被せ物は、天然の歯に近い色味や透明感を持ち、見た目が自然で美しいです。さらに、表面が滑らかで汚れや細菌が付きにくく、虫歯の再発予防にも効果的です。

・オールセラミック

セラミックだけで作られた詰め物や被せ物で、最も審美性が高いです。金属を一切使っていないため、金属アレルギーの方でも安心して使用できます。

・ジルコニアセラミック

セラミックジルコニアは人工ダイヤモンドとよばれるほどの強度と審美性を兼ね備えています。奥歯などの負荷が大きい部位にも適しています。

・メタルセラミック

内側は金属で外側はセラミックで作られた被せ物で、強度が高く耐久性に優れています。しかし、金属アレルギーの方は使用できませんし、見た目も自然ではありません。

・ラミネートベニア

歯の表面を薄く削り、薄いセラミックの板を貼り付ける方法で、歯の色や形を綺麗に整えることができます。しかし、強度が低く欠けやすいというデメリットがあります。